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ソフトウェアの品質向上に有効な第三者検証 メリットや活用方法について

ビジネスにおけるデジタル技術の活用が一般化する現代において、ソフトウェアの品質を高めるための手段として第三者検証という選択肢をとる企業が少しずつ増えています。第三者検証にはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、どのような場面において第三者検証が有効となるのでしょうか。この記事では、第三者検証について詳しく解説します。

目次

ソフトウェアの品質向上に有効である第三者検証

近年、ソフトウェアの品質を高めるために第三者による検証を実施するケースが増えています。第三者検証とはどのような取り組みなのでしょうか。なぜ、第三者が検証を行う必要があるのでしょうか。

第三者検証とは?

ソフトウェアを開発する際には、何らかの形でテストを実施し、品質を担保します。たとえばウォーターフォールモデルにおいては、単体テスト、結合テスト、システムテスト、受入テストなどの各フェーズにおいてテストを実施することが一般的です。このようなテスト作業は、社内の品質保証チーム、もしくはソフトウェアの開発チームメンバーが自ら実施するケースが多いです。

一方で、このテスト作業を第三者が実施するのが第三者検証の取り組みです。第三者検証を実施することで、当事者では気づかないような課題や欠陥などを検出し、品質改善に役立てることができます。

なぜ第三者検証を行うのか?

従来、システム開発プロジェクトにおいて、第三者にテスト工程を委託するケースは決して多くはありませんでした。これには様々な理由がありますが、その一つは従来のソフトウェア開発の目的にあると考えられます。コンピューターテクノロジーの発展に伴い、1970年代ごろからビジネスにおいてITシステムの導入が進みました。この時のソフトウェアの導入目的は業務の効率化を中心としたものであり、人がやる作業を機械に置き換えるため、要件に沿って既存の業務内容を実現できるソフトウェアが求められました。

一方で、近年ではDXというキーワードに代表されるように、デジタル技術は業務の単なる効率化に留まらず、ビジネスそのものの根幹となりつつあります。サービスそのものをデジタルのみで完結しようとするビジネスすら台頭する現代においては、いかにしてソフトウェアの価値を高めるかが企業および事業の成長に大きく影響してきます。

ビジネスを成功させるためには、ターゲットとなる対外的なユーザーに対して「優れた体験を享受できる製品・サービスである」という印象を与えられるものである必要があります。そのため、ソフトウェアの使い勝手や機能性などについて、ソフトウェアのリリース前に第三者の目線で評価を得ることが有効となります。

ソフトウェア開発にかぎらず有効である第三者の目線

ソフトウェアの領域に関わらず、第三者の目線を活用するケースは増えています。たとえば環境分野ではよく第三者検証が行われます。たとえば、CO2排出量の算定において第三者の検証を受けることでその算定が適切であることを確認したり、サスティナビリティの取り組みを第三者に検証してもらったりといった事例があります。

また、企業が説明責任を果たすために中立の立場である第三者機関を設置し、調査や評価を行うようなケースも増えています。

このように、第三者の目線は品質や取り組みの内容を客観的に評価するために有効な手法として、ビジネスのあらゆる場面に浸透しつつあります。

第三者検証を活用できる場面

それでは、具体的にはどのような場面において第三者検証を活用できるのでしょうか。以下では、第三者検証を活用できる場面についてご紹介します。

顧客体験テスト

ひとつは、顧客体験に関するテストです。顧客体験の観点でのテストを実施する際によくあるのが、テスターを十分に確保できないという課題です。自社の製品・サービスがターゲットとする年代や性別などの属性を持ったテスターを確保するのは簡単ではありません。

社外リソースの活用が前提とはなりますが、様々な属性を持ったテスターを集めることができる第三者を選んで委託することで、年代や性別など、ターゲットの属性に合わせた顧客体験の評価ができます。

アクセシビリティテスト

ユーザビリティと合わせて、近年のソフトウェア開発において重要視されているのがアクセシビリティテストです。アクセシビリティとは「利用しやすさ」を意味する言葉であり、視覚や聴覚にハードルがある方なども含めすべての方が同じようにサービスを利用できることを目指すものです。

アクセシビリティの観点では、マウス操作だけではなく、キーボードや音声認識などの様々なデバイスに対応し、また弱視の方や色覚異常の方でも見やすいようなUIの色使いなどが求められます。

これらの知識を十分に備えている第三者にテストを依頼することで、アクセシビリティの観点でも優れたソフトウェアを開発することができます。

次世代型のデバイスに対するテスト

VRデバイスやIoTデバイスなど、多様なデバイスが登場していますが、これらの製品に対するテストは従来のソフトウェアと異なる観点で実施しなければなりません。VRデバイスやIoTデバイスの評価においては、機能だけでなく操作感や没入感など、ユーザー体験が優れるかも重要な視点となります。これらのデバイスにおいてどのようにテスト設計を行えばよいか、十分に精通しているという企業は少ないのではないでしょうか。このようなケースにおいても、第三者検証を活用できるでしょう。

音声認識テスト

音声認識機能を開発する際に課題となりやすいのが、多様な声質やイントネーションなどへの対応です。一定の条件下では高い精度で認識ができたとしても、実用上においては様々なバリエーションの音声に対応しなければなりません。

豊富にテスターを用意できる第三者に検証を委託することで、実用上の精度を確認しやすくなるというメリットがあります。

第三者検証の実施主体による特徴やメリット

第三者検証を実施する際には、大きく「社内の第三者に依頼する方法」と「社外の第三者に依頼する方法」という2つの選択肢があります。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。

社内の第三者による実施

ひとつの方法は、開発メンバー以外の社内リソースで第三者検証を実施する方法です。企業内に品質保証(QA)を行う組織を設置することで、第三者検証を実施する企業もあります。

この方法のメリットは以下のとおりです。

メリット①:開発者のバイアスにとらわれない検証

開発者は仕様を詳しく把握しており、実装も行っているためどうしても思い込みでテストケースの作成やテストの実施をしてしまう可能性があります。品質保証部門など、開発メンバー以外が検証を実施することで、開発者のバイアスにとらわれず、検証を実施することができます。

メリット②:検証スキルの蓄積

社内で検証を実施することで、テストに関するスキルやノウハウを社内に蓄積することができます。テストに関するスキル・ノウハウの蓄積により、テスト業務の効率化による工数・コストの削減や、テスト品質の向上につながっていきます。

社外リソースによる実施

もう一つの方法は、社外の第三者リソースを利用するものです。豊富にテスターを抱える企業に検証を委託することには、以下のようなメリットがあります。

メリット①:リソース調整のしやすさ

社外リソースを活用することで、人的なリソースの調整がしやすいというメリットがあります。社内で第三者検証を実施する場合、プロジェクトの実施タイミングに合わせたリソース調整が難しいというケースもあります。また、企業規模によってはテスト専任組織を作ることが難しいという場合もあるでしょう。

社外リソースを活用することで、人的リソース面でも柔軟な対応が可能となります。

メリット②:多様な属性を持つテスターの確保

ソフトウェアがターゲットとする属性を持つテスターがテストを実施することで、より現実に近い評価が可能となりますが、この際、社外リソースを活用することで多様な属性を持つテスターによりアクセスしやすくなります。

社内リソースでテストを行う場合、どうしてもテスターの属性は偏りがちとなります。様々なテスターを抱える第三者に検証を依頼することが前提とはなりますが、第三者検証により年齢や性別、所在地、国籍など様々な属性のテスターによるテストを実施することができます。

メリット③:様々なデバイスによるテスト実施

実デバイスを多く保有する第三者検証サービスに依頼することで、網羅性の高いテストを実施することができます。

社内でテストを実施する際に課題となるのがデバイスの確保です。特にスマートフォン向けのソフトウェアにおいては、様々なデバイスで検証を行う必要があります。一方で、コスト面の関係からデバイス自体の確保が難しく、またデバイスとOSの組み合わせも多数存在することから、網羅的にテストすることが難しいという問題もあります。

このような観点からも、社外リソースの活用にはメリットがあります。

第三者検証の委託先選定ポイント

このように社外への第三者検証の委託は様々なメリットがあります。それでは、どのような企業に第三者検証を委託するべきなのでしょうか。以下では、選定におけるポイントを紹介します。

①豊富にテスターを確保できるか

社外リソースを利用する上でのメリットである「豊富なテスターの確保」は、あくまで十分にテスターのリソースを確保できている委託先への委託が前提となります。よって、委託先が十分にテスターを確保できるかという観点は抑えておくべきでしょう。

今回実施したいテストにおいて必要なテスターのリソース量に対応できることはもちろんのこと、将来的な対応も踏まえて、どの程度までのテストボリュームに対応できるかという点も確認しておくことをおすすめします。

②どの程度のバリエーションでテスターが用意できるか

第三者に検証を委託するメリットである「多様な属性を持ったテスターの確保」を実現するためには、委託先がどの程度のバリエーションのテスターを抱えているかが重要な観点となります。

よって、委託先を選ぶ際には、テスターの属性について確認すべきでしょう。豊富にテスターを確保している企業であっても、自社が求める属性を持ったテスターがいなければ意味がありません。

特にグローバル対応を行うシステムにおいては、グローバルにテスターを用意できる委託先を選ぶべきです。日本国内で開発を行う場合、社内だけでは海外のテスターを確保することは難しいといえます。

グローバル対応ができる第三者は限られます。グローバル対応を行うソフトウェアの検証を行う際には、グローバルにテスターを確保している企業を積極的に選定するべきです。

③多様な業界・テクノロジーに対応できるか

ソフトウェアのテストは費用対効果の見極めが重要なポイントです。過剰なテストは発生するコストに対して品質はさほど向上せず、一方で、テスト不足は品質悪化につながります。

「どのようなテストをどの程度実施すれば十分な効果を得られるか」を判断するためには、テスト自体に関する知識はもちろんのこと、業界やテクノロジーに対する知識も必要です。

たとえば、スマートフォンデバイスにおいて実施すべきテストとスマートウォッチにおいて実施すべきテスト観点は異なります。テストの対象となるソフトウェアに対して、十分な知見を持った企業を選ぶことがポイントです。

グローバル対応も可能である第三者検証サービス「Applause」とは?

当社では、第三者検証を外部に委託する際の選択肢として、世界200以上の国・地域で100万名以上のテスターを抱える世界最大級のクラウドテストソリューション「Applause」を提供しています。

同サービスでは240万台以上のテスト用デバイスを保有しており、あらゆる環境における検証に対応可能です。グローバルにテスターを確保しているため、日本はもちろん、アメリカやEU圏も対象としたソフトウェアを開発する際に有効な選択肢となります。

まとめ

この記事では、第三者検証の特徴やメリット、委託先の選定方法などについてご紹介しました。外部へ第三者検証を委託することで、テスト品質の向上はもちろん、テストのためのリソース確保にも有効です。IT人材の不足に悩まれている企業にも、おすすめの選択肢となるでしょう。

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